オープンロジが物流基盤に搭載する「トラック予測」機能を、複数倉庫へと展開する動きを見せている。この機能は出荷量の予測データをもとに必要な車両台数を算出し、手配精度を高めることで、輸送待機のムダや作業負荷を削減する狙いがある。特に精密機器や美術品といった高付加価値貨物を扱う現場では、搬送タイミングのずれが破損リスクに直結するため、需給予測と車両手配の連携強化は実務上の改善効果が大きい。
参考: オープンロジ、トラック予測機能の活用を複数倉庫へ拡大(LNEWS)
分析・見解
到着時刻が10分ずれるだけで荷役やコストが崩れる
精密機器や美術品を運ぶ現場では、車両の到着時刻が10分ずれるだけで荷役作業の段取りが崩れ、待機コストや破損のリスクが跳ね上がる。これまでの車両手配は経験則や前日の実績に頼る部分が大きく、繁忙期と閑散期の波が読みにくい倉庫では、車両を多く手配しすぎたり、逆に足りなくなったりすることが混在していた。オープンロジのトラック予測機能は、出荷量の変動パターンを学習し、必要な台数をあらかじめ算出することで、この不確実性を圧縮する。
複数倉庫展開で拠点間の車両融通が可能になる
今回、この機能が複数倉庫へ広がることの意味は大きい。単一拠点での最適化から、拠点間で車両を融通し合い、稼働を平準化する段階へと移るからだ。たとえば関東の倉庫で午前に出荷が集中し、関西の倉庫で午後にピークが来るなら、車両を順番に移動させることで稼働率を高められる。特殊輸送では車両が専用仕様になることが多く、使われていない時間を減らせれば、そのままコスト改善につながる。
特殊車両の事前確保と稼働率向上を両立できる
精密機器の輸送では、クリーンルーム対応車両や温度管理車両といった特殊な車両の手配が必要になるが、これらは台数が限られており、予測の精度が低いと確保できないリスクがある。倉庫をまたいだ需要予測が実現すれば、特殊車両を事前に確保しつつ稼働率も高めるという、両立が難しかった課題を解決できる。
2024年問題下でのドライバー待機時間削減にも寄与
さらに、2024年問題で運送業界の労働時間規制が厳しくなった今、ドライバーの待機時間を減らすことは、法令を守るうえでもドライバーを確保するうえでも重要だ。車両手配の精度が上がれば荷待ちの時間が減り、運送会社との信頼関係も強まる。これは長期的に見て輸送品質を安定させることにつながる。
ビジネスへの影響
複数拠点を持つ企業ほど輸送品質が安定する
精密機器メーカーや美術品を扱う企業にとって、この動きは輸送品質の安定性向上と物流コストの見通しやすさを高める材料となる。特に複数の拠点から出荷を行う企業では、倉庫間で車両を融通し合う仕組みが進むことで、繁忙期と閑散期の差が大きい時期でも安定した輸送サービスを受けられる可能性が高まる。
物流委託先を選ぶ基準に車両手配の精度が加わる
また、3PL(物流業務を外部に任せる仕組み)やフルフィルメント(受注から出荷までを代行するサービス)を提供する事業者を選ぶ際、車両手配の精度や待機時間管理の実績を評価の物差しに加える動きが加速するだろう。輸送品質は単に「壊れない」だけでなく、「予定通りに届く」「ドライバーの負担が少ない」といった要素も含むため、予測機能があるかどうかは差別化の要因となる。
出荷計画に余裕を持たせずに済み在庫回転も改善
実務面では、出荷計画を見直す頻度を減らせる点も大きい。これまでは車両を確保できるか不確実なため余裕を持った計画を立てていたが、予測の精度が上がれば、よりタイトなスケジュールで運用でき、在庫の回転率を改善することにもつながる。
